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Process-006

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芸術の中において、最古層に属する表現である「舞」、そして「音楽」。その成立起源を遡ればヒトの最も原始的な文化である呪術に辿り着く。今回『OCTOPUS STORY』への参加に際して舞台音楽とはなにかと自問し続けた末に出した答えがある。それは人類の最も原初・根源的な文化活動である祭祀を彩る中核要素 「咒(しゅ)」に立ち返ったものを顕現させることだった。 『OCTOPUS STORY』は「キリスト教」をテーマの一つとして扱う。焚火や舞い散る桜、川の水面にまで神を感じるアニミズムの染み付いた極東アジアの島国生まれの人間に、中東の荒野で興った一神教の何を体現できるのか。ヒトの「霊性」を最小公倍数にまで削ぎ落とした集合的無意識の様なモノの中にある根源的な「何か」は、「国」、「文化」、「信仰」を超えて共振し得るのかどうか、思案しながら音の編集作業をしているうちに、天啓の様に「歌モノ」からア・カペラを取り出す方法を思い出した。元音に対して、逆相を当てる。つまり「歌モノ」にステレオの左右を逆にしたカラオケを重ねるのである。すると、正相と逆相が音を打ち消し合いキレイに歌だけが残る。一神教に対して多神教、砂漠の荒野に対して島国の森。法悦と官能、洋の東西、生と死。これだと確信した。祈りとは意に乗る事であり、意乗りこそ神憑(かむあそび)なのだ。 劇中の印象的な場面で鳴り渡る、土着化し特殊な教派神道の様な祭祀文化となったカクレキリシタンのオラショ唄。古神道での神降ろしや神憑りに用いられる石笛。魂の依る空洞としての祭器である銅鐸。これらの響が文化的逆相となって「普遍的な根源の霊性」を抽出し、ダンサーを依代としてキリシタン・ペトロ岐部カスイを勧請する。対極にあるモノ同士が並ぶ強烈な異化作用にも関わらずペトロ岐部カスイを顕す音として「あなた」の中に自然と響く音であったなら、私の企ては意乗り通りうまくいったのだろうと思う。(文章: Yue)

OCTOPUS MIX

https://soundcloud.com/cvpyndpzrhim/octopus-mix-for-drive

『OCTOPUS STORY』の制作プロセスについて ⑥

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